「いちちく」 ・・・。 「い・ち・じ・くっ」 「いちちち」 ・・・。 ジェイクと二人でいちじく、食べました。 食べながら日本語指導しました。 2人で、4パック完食であります。 「ノリックいちちくすっき?」 とジェイクから携帯もらったときは「?」でしたが。 「どこにいるの?」ととりあえず聞いた僕。 「やおらさん」 ・・・。八百屋さんね。 つまり、いちちくは八百屋さんに扱いのあるもの。 いちじく、だね、じゃあたぶん。 「好き。買ってきて」 で、ジェイクはいつものようにパック、ではなくその「箱」ごと買ってきました。 4パック入っている、箱、という意味であります。 ま、いつものことなんで。 いちじくは大好きであります。 せっせと食べていたら、突然先日急遽入院した、親友のことを思い出しました。 その親友は、今週頭に突然救急車で病院へ運ばれ、それからずっと入院。本人が出たがるので、 昨日退院の予定でしたが、やっぱりできなくて。 今日も今病院にいます。 携帯にさっきかけたら、点滴をまた打っている最中だとか。 一日に、数時間ごとにいろんな箇所に針をさされて、点滴やらなんやらされる、とかで、ものすごくつらいらしく。 ちなみに昨日は、夜おそく病院からタクシーでここまで抜け出してきて、僕のご飯食べて、また夜中にタクシーで新宿の病院に戻ってゆきました。 病院のごはんはまるで「ガンジーみたいだ」だそうで。つまり日本語にすると、精進料理というか、修行僧の食事、という感覚なのでしょう。耐えられないと。僕のごはんが食べたかったのでしょう。タクシー代のほうがものすごく高いけど、彼ははるばる来ました。 今日さっき携帯にかけたとき、 親友は183センチのがたいがあり、かなり男っぽい男だと断言できますが、今病院では 印象の違う声で「大丈夫大丈夫」なんて言っていたけど。 この1ッヶ月間に、彼は6キロ体重が落ちたのです。急に。 おかしいな、と思っていたけれど、あろうことか親友の僕がその「おかしいな」を見逃した。 ほとんど毎日、顔見てたのに。 おっと、いかんいかん。ジェイクの観察日記モードからはずれてシリアスになりすぎますな。 みなさんには、ジェイクシリーズのブログは楽しんでもらわないとですな。 えへっ。 でも正直、いちじく食べながら「友達にも食べさせてあげたいな」と考えていた僕。 ぶっ倒れる前日、彼は僕のためにスイカを買っておいてくれたのです。 はっきりいって、スイカは彼にとって安いものではありません。海外から日本に来た人間にとって日本で暮らすことは大変なのです。 でも僕と食べようとスイカを買っておいてくれたのです。 そのスイカはうまかったっすよ。 思い出して、 いちじく食べながら、途中からボロボロ泣いていた僕。 はっきりいって僕は20代30代前半なんざ、泣くこと知らない男でありました。 もともと、負けん気も強くて。泣いてる場合じゃないんで、くらいクールで。 自分は泣かず僕は他の男を、何人か泣かしました。 えへっ(悪魔) でも最近はよく泣きます。ブログに書いてしまうくらいの自分ですから、自分は恐ろしいほど変わったんだな、と我ながら思います。 ま、いいんす、かっこつける気、ないんで。 でも間違っても女の子の前では泣かないっすよ。 女子の前で泣く男はだめであります(古っ、くていいんっす) ボロボロ泣く姿を、ジェイクは何度か見ています。 そのたびジェイクはオロオロしますが。 「whats wrong with u?come on....」 「what happened to u?」 「ノリック、どした?」 「ノリック、だいじょぶ?」 日本語、英語で必死で僕を心配します。 僕は、正直 今恐くてたまりません。 親友の、病名を聞いたとき、めまいと共に、思わずしゃがみこんだ僕。 彼の胃に、よからぬことが起こっています。 彼はまだ 僕よりも、10歳若い。 これからなんだから。 それに胃は、人間の要。 恐怖とか不安とかが「涙」という形で表にでてきているだけで、僕は弱虫なんかじゃあ、ありませんが。すごく、泣きました。 少し落ち着いてからジェイクにはざっと説明を。 「ふんふん」と聞いていたジェイク。 僕を励まそうと日本語で 「ノリック、げんきをかして」 って。 貸してどうする、みたいな。 「もう!ジェイク、げんきをだしてだよ。だ・し・て!かしてどうすんのさ?」 えへ、みたいな顔するジェイク。 みなさん おいしいものを、おいしいねって当たり前に食べられることの幸せを、 どうか どうか 忘れないでください。 僕はそのあたりまえの幸せを伝えるために日々、仕事をさせてもらっています。 友達や家族、恋人とか 愛する人と囲む食事の喜びを、どうか大切にして生きてゆきましょう。 僕も泣いてないで、とにかくがんばりますな。 な。 to be continued.
by foodlovers
| 2008-07-19 20:39
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Profile
金本J.ノリツグ
1973年三重県生まれ。20歳で料理人を目指し上京。和、フレンチ、イタリアンと幅広く学び、料理研究家として活動を展開。簡単でおいしく、薬膳知識をも生かしたヘルシーなレシピが人気を集め、各局テレビ、雑誌に幅広く登場する。食品企業のレシピ開発や商品開発、公演なども手がける。作家としての処女小説に『FOOD LOVERS』、そこから飛び出した実写版レシピ本として『LOVE in COOK』(いずれもアートン)がある。『LOVE in COOK』では、小説の主人公を著者自らが演じ、作品の世界をビジュアル化した。コンセプト、料理、スタイリングはもちろん、文章、写真表現にいたるまでをセルフ・プロデュースした意欲作となり、今後さらなる幅広い活動が期待されている。 カテゴリ
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